私の原体験
私は,学生時代,傷害事件の被害者になった経験があります。何も落ち度がないにもかかわらず,一方的に暴行を受けました。全治2週間の怪我は時間の経過により癒えましたが,その時に抱いた「思い」は今も消えません。私は,暴行を受ける中で,ぼんやりと,「やり返して,前科か何かがついて,司法試験に受かってから弁護士になれなくなったら困るなぁ。」などと考えていました。突然の出来事に,体は全く動きませんでしたが,幸い,助けて下さった方がいたため,逃げ出すことができました。
しかし,警察は犯人2名を逮捕しませんでした。何度も殴られたと申告し,現に血が流れている傷を見せているにもかかわらず,警察(小金井警察署)は,私に,「手拳で1回殴られた。微罪処分として処理することに異議がない。」旨の書面を書かせました。1名は逃亡し所在不明になってしまい,もう1名からは被害申告を取下げるよう脅迫を受けました(私の承諾を得ずに,警察官が私の電話番号を教えた結果です。)。検察(東京地方検察庁八王子支部)は,私の取調べを一度も行わず,私の話を一切聞かないままに,逃亡した1名は不起訴,私を脅迫した1名には略式の罰金刑が下されました。私は,この処分を,処分が出てから3か月経ってから初めて知りました。
刑事事件としては,これで終わりです。たかが「傷害事件」ですが,当時住んでいたアパート近くでの出来事であったため,しばらくは,夜,出歩くことができなくなりました。そして,私は,私を助けてくれる制度がないことに絶望しました。唯一の頼りだった,警察・検察の以上のような対応に,更に,大きく傷つきました。
当然ながら,加害者からは,治療費も,慰謝料も,何も払われません。私自身も,心身共に滅入ってしまい,もう加害者とは関わり合いたくない,泣き寝入りする方が楽だ,と考えた時期もありました。しかし,幸い,当時,司法試験合格を目指し,少しだけ法律の勉強をしていたため,ほんの少しだけ,法律に関する知識はありました。また,多くの犯罪被害者支援関係の書籍を読み,「今,自分を助けてあげられないで,将来,弁護士になって誰かを助けてあげられるわけがない。」と思うに至りました。そこで,加害者と対峙する恐怖を抱きながらも,拙い法律知識をもとに,自ら裁判所(武蔵野簡易裁判所)に損害賠償請求訴訟を起こし,一部だけは賠償を得ました。また,検察官の不起訴処分には,自ら検察審査会への申立てを行いました(もっとも,申立てから1年半もの間,不可解にも,検察庁は捜査記録を検察審査会に提出しませんでした。結果は,残念ながら「不起訴相当」でした。)。
これらの経験を通して得た絶望感と悔しさと,法律の知識が少しあるだけで権利が少しは実現されたという経験は,私が司法試験に早期に合格し,早期に弁護士になることの大きな原動力となりました。
犯罪被害者になったときの「思い」は,今も,消えていません。
犯罪被害者支援を行います
以上のような経験から,私は,犯罪被害者の支援を行います。
誰しもが,予告もなしに,ある日突然,犯罪被害者に追いやられます。全国民に対する割合で見ると,犯罪被害者の割合はほんの少しのパーセントに過ぎませんが,毎年,確実に,多くの犯罪被害者・遺族が生まれ,私が経験した苦痛とは比べものにならない痛みを受けています。
残念ながら,世の中では,犯罪被害はまだまだ他人事で,人々は無頓着です。私自身も,自らが犯罪被害者になるまでは,犯罪被害者の苦痛に思いを致したことはありませんでした。現在,不幸にして犯罪被害者の地位にある方の,その悔しさ,その苦痛を,真の意味で,共に感じることはできません。しかし,私自身の過去の経験から,その大きさを想像し,思いやることはできます。私は,助けを受けられずに苦しんだ過去の自分自身をサポートするつもりで,犯罪被害者の皆様をサポートします。
以上のような考えに基づき,金融商品取引関係の事件を主に取扱いながらも,開業当初から,一貫して,犯罪被害者支援を行っています。これまで,加害者との示談交渉,加害者に対する損害賠償請求訴訟,刑事事件に被害者参加弁護士として参加,損害賠償命令申立て,犯罪被害者給金の申請などを行ってきましたし,事案によっては,警察の留置場に留置されている被疑者の領置金の差押えや,刑務所に収容された後も刑務所の領置金の差押えなど,やや強硬な手段もとってきました。
犯罪被害者支援は,私の弁護士としての「使命」であると思っています。弁護士費用については,各種の制度を利用して,可能な限り負担が軽くなるよう配慮致します。是非,ご相談下さい。